夏になると雷が増えます。雷の発生数は夏と冬で10倍くらいの差があって、6〜8月に集中しています。今年もこれから雷の時期が始まるというわけですね。
雷が地面に落ちる、いわゆる落雷はいろいろな被害を発生させます。燃えるものに落ちれば火事の原因になりますし、電気製品が壊れるなんてこともありますね。毎年20人程度の死者も出ているそうです。
マンションを管理している立場で怖いというか、雷の時期によく起きるトラブルが断水です。水道がでなくなるんですね。

今日は落雷でなぜマンションの水道がでなくなるのか?について簡単に説明します。
大きな建物ではポンプで水道を供給している
戸建住宅のような小さな建物では水道局の施設から送られてくる水道管の圧力でそのまま蛇口まで水が送られてきます。特別な設備はありません。
ところが大きな建物の場合は水道管の圧力だけでは上の階まで水が届きません。そこで建物側でポンプを設置して水を汲み上げています。

上の画像は東京都水道局のホームページのものです。
マンションでよく使用される方法にはポンプで屋上の高架水槽まで水を上げて貯めておき水の自重で落ちてくる貯水槽水道方式と増圧ポンプで圧力を上げて直接各蛇口まで水を送る増圧直結給水方式の大きく2パターンの方法があります。
水を貯めておく方法は衛生面の問題もあって最近は増圧直結給水方式のほうが増えています。僕が管理するマンションでも徐々に貯水槽水道方式を増圧直結給水方式に切り替えています。
しかし、どちらの方法にしてもポンプやそれを制御している装置が故障したら断水してしまうわけですね。
給水用のポンプは落雷で故障しやすい
給水用のポンプは落雷でよく壊れます。去年は僕の勤める営業所の管轄エリアで落雷が多発して一晩で6件も同時に断水が発生するなんてことがあって徹夜でした(^_^;)
ではなぜ給水用のポンプは落雷で故障しやすいのでしょうか?
当然ですが給水用のポンプは水道管とつながっています。そして水道管は地面に埋まっていて広範囲に広がっています。さらに水道管は金属製で水が通っており、電気を通しやすい構造になっています。
つまり建物の近くに雷が落ちると建物そのものに直撃しなくても水道管を通して給水ポンプに高圧電流が流れることになるんですね。
これは避雷針に雷が落ちた場合も起こることがあります。
高い建物には落雷による被害を防ぐため避雷針がついています。高さ20メートル(マンションでは6階建くらい)を超えると建築基準法の規定により避雷針を設置する義務があります。
避雷針は雷を吸収してそのエネルギーを地面に逃がすことで建物への被害を防ぎます。が、地面に逃がすということは、地面に埋まっている水道管に伝わる可能性があるんですね。なので避雷針があっても給水ポンプが壊れることがあるのです。
ということは地面に落ちても避雷針に落ちても、雷が近くに落ちれば給水ポンプが故障する可能性は常にあるということです。
まとめ
というわけでマンションでは雷のせいで水道がでなくなることがあるのです。それもけっこう頻繁に起こります(T_T)壊れると対応も大変だし、故障の内容によっては数十万の費用がかかります。
雷からポンプなどの電気設備を守るための保護器もあるのですが給水ポンプではまだまだ普及していません。最近の製品では標準でついているものも出てますけどね。
まぁ、お部屋を借りて済んでいるだけの居住者の方は水道がでなくなったら管理会社に連絡するくらいしかやることないと思います。マンションオーナーの方は予防策を検討するのも良いのではないでしょうか。