市町村単位で運営される水道事業の民営化は電気や都市ガスのケースとはまったく別物だと思う

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どうも!きったんです。

水道事業の民営化を促す改正水道法が成立しましたね。ネット上を見ていると水道の民営化はどうも反対の方も多いようで批判的な声も聞かれます。民営化の目的はコスト削減でしょうが、民営化したら本当にコストが下がるのか?営利が目的となってもっと料金が上がるのではないか?品質はちゃんと保証できるのか?といった問題もあります。

水道事業の民営化で水道料金が暴騰するとか地域によって数十倍の料金差がでるなどという人もいます。これに対して以前から民間企業が運営している電気や都市ガスではそんなことはないという反論も見かけます。

水道

僕自身は水道民営化は反対派です。地域によって水道料金が高騰するケースも出てくると思うからです。市町村単位で運営される水道事業の民営化は電気や都市ガスのケースとはまったく別物だからです。

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市町村単位で運営される水道事業の民営化は電気や都市ガスのケースとはまったく別物

電気料金は広域でバランスをとっている

日本では昔から電力事業を民間の電力会社が行ってきました。電力会社は北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10事業者があり、それぞれの地方で独占的に電力の供給を行っていたのです。

電力自由化で電力の小売事業は独占ではなくなりましたが、現在も各家庭に電力を送ったりする電線などのインフラ部分は独占的に行われています。

それぞれの電力会社が受け持つエリアはかなりの広域なエリアです。その中には都市部もあれば山間部や離島なども含まれています。当然都市部では利益が上げやすく、山間部や離島では採算が取れないところもあるでしょう。それでも広域なエリアで独占的に事業が行えることで全体として黒字であれば経営は成り立つわけです。

都市ガスは採算が取れないエリアには供給されない

日本中にくまなく供給されている電気と違って都市ガスはそもそも採算が取れないエリアには供給されていません。都市ガスが供給されていないエリアではオール電化にでもするかプロパンガスを利用する必要があります。

プロパンガスを使うと同じように使っていても都市ガスの2倍くらいの料金になることも珍しくありませんし、都市ガスが供給されないようなエリアだとプロパンガスのボンベを配達するのもコストがかかることが多いためさらに価格差が開くこともあるでしょう。

市町村単位で運営される水道事業

都市部から山間部、離島まで広いエリアをカバーする電力事業と違って市町村単位の狭いエリアで運営される水道事業では採算が取れないエリアが確実に出てきます。だからといって生きるために絶対必要な水を都市ガスのように採算が取れるところだけに供給するわけにもいきません。

水道事業は採算が取れてないから民営化なんて言い出したわけです。採算が取れない水道事業を設備などは同じで経営部分だけ民営化したところでいきなり採算が取れるようになるとは思えません。

現在公営の水道局の水道料金でも地域差が大きく最大で8倍の差があるそうです。公共運営では税制も有利だし、役員報酬や配当もないわけで利益を出す必要はないので最低限の運営コストでもそういう状況なわけです。

民営化のために業務を受託してくれる企業を募集しても採算が取れなそうなエリアでは希望する企業が集まらないと思います。採算が取れそうなエリアなら民営化もスムーズにできるかもしれませんが、そういったエリアはそもそも民営化の必要性が薄いのであまり意味がありません。

「民間の工夫で〜」なんて言ったところで独占事業ならコスト削減をコツコツ頑張るより料金を値上げする方向で頑張ったほうが利益が出るのは明らかなので、民営化したら委託した企業が値上げを画策するケースも出てくるでしょう。

結果的に無理やり民営化したら料金が上がるということは十分に考えられると思います。

まとめ

水道事業の民営化は海外の事例を出すまでもなく失敗しそうな気がします。少なくとも市町村単位で運営される水道事業の民営化を電気や都市ガスのケースと同じように考えるのは違うのではないかと。それに市町村レベルでは大手の民間企業が参入してきてもコントロールできないところが多そうですしね。

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