僕はマンションの電気設備の設計や工事の監理が仕事です。お客様が入居されてからの相談を受けたりもします。で、夏頃になると増えてくるのがエアコンの設置についてのお問い合わせなんですね。特にここ数年増えてきたのがエアコン用の専用コンセントが無いとエアコンの設置ができないと言われたという問い合わせです。
以前はそんな話は聞いたこともなく、コンセントさえあればエアコンの設置ができたのですが、時代の変化ですね。
今回はこの時期お客様からの問い合わせが多いエアコン設置を業者に断られた事例やエアコン用コンセントの見分け方について紹介します。
エアコンの設置には専用回路のコンセントが必須!?
エアコンの設置には専用回路のコンセントが必要だという話を聞いたことがありますか?
ここ数年、専用回路のコンセントがないとエアコンの設置を断られるという事例が増えているんです。
専用回路でないとエアコンが設置できない
エアコンの設置をしている業者の中には、「エアコンのコンセントは専用回路でないといけないと法律で決まっている」などと説明してくる方もいるらしいんですが、こんなのは大ウソです。
僕もさんざん調べました。関係しそうな法律はすべて確認し、総務省にも、各エアコンメーカーにも、関係団体にもヒアリングしまくりましたが、法的な規制はないです。あるのはメーカーと家電量販店の自主規制です。安全性の問題から専用回路でなければ販売しない、設置しないと決めたそうです。
事故事例の資料を見せてもらっても、タコ足配線とか素人工事による事故ばかりで専用回路はあまり関係なさそうだったんですけどね。。。それでも販売しない、設置しないと言われてしまったらお手上げです。
大手の家電量販店はみんな自主規制に参加してるんで実質的には専用回路でないと設置できないという状況です。
専用回路のコンセントとは?
さて、それでは専用回路のコンセントとはなんなのでしょうか?
皆さんの家にも分電盤というものが付いていますよね。
こういうのですね。
で、右側に小さいブレーカーがいっぱい並んでますが、家の中の電気はすべてこの小さいブレーカーのどれかにつながっています。普通のコンセントは3〜4個くらいで1つのブレーカーにつながっていることが多いです。または部屋ごとに照明などと一緒になっていることもあります。
専用回路のコンセントって言うのは、このブレーカーと1対1でつながっていて、他のコンセントや照明などと分けられたもののことです。
エアコン設置スペースの横にコンセントがある場合でもすべて専用回路になっているわけではありません。
もともと法的には専用回路になっていなくても設置できますしメーカーの自主規制がここまで厳しくなったのも数年の話ですから、それ以前は専用回路で設計していないことも多かったのです。4畳とか6畳程度の部屋であれば小型のエアコンでも十分で使う電力を考えれば専用回路は過剰ですからね。
今エアコンが付いていてもダメなケースも
昔は専用回路じゃなくても設置してくれたので、今エアコンが付いていても専用回路になっているとは限りません。
もし専用回路になっていないと買い替えの時は工事をしてくれない可能性が高いです。今まで問題なく使えていたのに工事してくれないなんてイマイチ納得できないですが、やってくれないものはどうしようもありません。その場合はエアコンの設置と別途電源工事が必要になってしまいます。
ですので今現在エアコンがついていても事前に専用回路かどうか確認しておく方がよいでしょう。
専用回路の見分け方
さて、気になるのは自分の家のエアコン用コンセントが専用回路なのか?ってことですよね?
どうやって見分けるかというと、分電盤のブレーカーを切って確認するのが一番簡単ですし、資格がなくてもできるのでオススメです。
ただ、思わぬところが停電してしまう可能性もあるので注意は必要です。家電製品によっては時計が狂ったり、設定がリセットされることもありますので。
では、簡単に見分け方を説明します。
まずはコンセントの種類を確認する
最初にエアコン用コンセントの種類を確認しましょう。
上の表と自宅のコンセントを見比べてみてください。
右側2つ、単相200Vとなっているものはほぼ間違いなく専用回路です。真ん中の20A対応のものでも専用回路の可能性が高いでしょう。左の2つは専用回路でない可能性が高いので確認が必用です。
ただし、専用回路かどうかとは別に電圧もあってないと使えないので、コンセントが200Vになっていて100Vタイプのエアコンに買い替えるとか必用な電圧が変わってしまう場合は結局電気工事が必要になっちゃいます。
分電盤を見てみよう
分電盤を見てみましょう。小さいブレーカーのところに、どこのブレーカーかわかるようにラベルが貼ってあるはずです。
エアコンと書いてあるラベルが見つかったら専用回路の可能性が高いですが、念のため次のステップに進んで確認しておくといいと思います。いずれにしろラベルを見ればどのブレーカーとエアコン用コンセントがつかながっているかの目星がつくと思います。
ラベルが古くて消えてしまっていたり、エアコン用コンセントの表示がなく、手がかりがない場合も順番に試していけばわかりますので大丈夫です。
ブレーカーを落として確認
ではここからブレーカーを落としてみます。停電してもいいように各電化製品のスイッチを切って、できればコンセントから抜いておきます。
次にエアコン用コンセントに電気が来ているかわかるようにします。今エアコンが付いている場合はスイッチを入れておきます。なければなにかわかりやすいものをコンセントに挿しておきます。ドライヤーや電気スタンドなどいきなり停電しても壊れる心配がなく動作がわかりやすいものにします。
ブレーカーの目星が付いていれば、まずはそれを落としてみます。なければ端から順番に落としていきます。するとどのブレーカーを落とした時にエアコン用コンセントの電気が切れるかわかります。
専用回路か確認
ブレーカーが特定できたら次は専用回路になっているか確認します。
エアコン用コンセントにつながっているブレーカーを切って他のブレーカーをすべて入れます。この状態でエアコン用コンセント以外に停電しているところがないかを確認して停電しているところがなければ専用回路です。
他に停電しているところがあればエアコン用コンセントとその停電しているところがつながっているはずなので残念ながら専用回路ではないということになりますね。
専用回路のエアコン用コンセントがないときは
残念ながらエアコン設置スペースのコンセントが専用回路じゃないとか、そもそもコンセントがないって場合にはどうすればいいのでしょうか?シンプルな方法は新しくコンセントを設置することですが、分電盤の改造が必要だったりでエアコン設置業者では対応できないケースもありますし、やってくれても高くつくなんてこともあります。
エアコンを購入したお店で設置を依頼する
エアコンを設置する業者はオプションで専用コンセントの設置も行ってくれるケースが多いです。エアコンの購入時に設置の申し込みまでできるので楽ちんですね。
ただ、オプションでコンセントの設置を依頼する場合は数万円は追加で必要になると考えておいた方が良いでしょう。コンセントの設置はエアコン設置以上に高額になる可能性も高いので家電量販店の言いなりにならず、なるべく安く設置してくれるところを探すのも手です。
また、エアコン設置の業者はエアコンの設置には慣れているもののコンセントの設置についてはちょっとレアなケースには対応できないこともありますので注意が必要です。
エアコン設置業者を別に探す
エアコンの設置専門の会社にコンセントの設置だけ依頼する方法もあります。家電量販店などで依頼するより高度な工事にも対応してくれる工事業者もありますし、見積もりをとって依頼すれば料金も安くなる可能性が高いです。
エアコンの購入と工事を別に依頼するのはめんどうではありますがメリットも多いので一括見積もりサイトなどを利用して探してみるのも良いですね。
エアコンを買うならレビューが充実しているAmazonがおすすめ!
エアコンは安い買い物ではないのでなるべく安く買いたい気持ちになると思います。でも、エアコンは設置工事もあるので安いだけのところで買うのは不安ですよね。
どの販売店が信用できるのか判断する一番の情報は口コミです。地域密着型の家電量販店なども良いのかもしれませんが、僕はAmazonのようなレビューがしっかりしているネットショップで購入するのが良いと思います。品揃えも良いので満足できる商品を探しやすいですね!
まとめ
というわけで、最近トラブルになることが多いエアコン用コンセントの話について書いてみました。
エアコン用のコンセントが専用回路じゃない場合やそもそもコンセントがついていない場合は設置を拒否されたり電源工事が必要になってしまいます。
先に確認しておけば電源工事をエアコン購入の時に見積もりに含めたりできますし、予算を考えるのにも有利なので購入前には確認しておくことをオススメします。特に業者が設置に来てから専用回路じゃないことがわかった場合はかなりめんどうですし、結果的に割高な費用を請求されることもあり得ます。
また、エアコンの効きが悪くなってきたということで買い替えを検討されている場合はエアコンの洗浄などで改善する可能性もありますよ!
これからエアコンの設置や交換を考えている方の参考になればと思います。