Kindle(電子書籍)ではその良さが絶対に伝わらないであろう泡坂妻夫氏の紙の本2冊を紹介したい!

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紙の書籍

「クレジットカードご利用のお知らせ」、こんなタイトルのメールが届いたのです。なんでだ!?

いや、カード使うと毎回届くのですけどね。自分で使わなくても継続利用しているサービスの支払日とかにも来ます。でもこの日はなにかの支払日とかではないはず。まさか、不正使用か!?

とかとか、いろいろ考えていたらAmazonさんからKindle本買ったろ?的なメールが。さらに意味わからんのですよ。頼んでないわ!

結局、僕がKindle放置していたため娘ちゃん(2歳)が勝手に注文してたんですよね。Kindleってロック書けとかないと誰でもワンクリックで注文できちゃうからこういうこともあるんだなぁ。気をつけないと。

ちなみに娘ちゃんのセレクトした本は「幸せになる勇気」でした。ありがたく読ませていただきたいと思います。

まぁ、そんな事故もありーのですけども、やっぱりKindleって便利ですよね〜。最近は基本紙の本は買いません。Kindleの方が出先でも読みやすいし、場所取らないし、快適ですからね。

でも、これは紙の本じゃないと伝わらない!って本もやっぱりあるんですよね。今日はKindleではその良さが絶対に伝わらないであろう泡坂妻夫氏の紙の本2冊を紹介したいと思うのであります。

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泡坂妻夫氏とは

泡坂妻夫氏は本名を厚川昌男といいまして、ペンネームの泡坂妻夫は本名のアナグラムなんですね。43歳でデビューした比較的遅咲きの小説家で主に推理小説を書いていた方です。

ご本人はもう亡くなられていて、紹介する本も結構古いです。でも現在も文庫本で販売が続いているロングセラーです。

僕はマジックが好きなんですが、泡坂氏はアマチュアマジシャンとしても有名な方で、マジシャンとしては本名の厚川昌男で活動されていました。厚川氏が個人で主催していたマジックの賞、厚川昌男賞はマジック界の直樹賞とも言われて、個人が主催するものながらマジック界ではけっこう権威ある賞だったりします。

そんな泡坂氏なので、小説も単に話の世界の中だけでなく、読者を驚かせる仕掛けのある本を出しているんです。これがめちゃスゴい!って思ったのですよね。

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術

二代目教祖の継承問題に揺れるある新興宗教団体を舞台に事件は起こります。初代教祖の孫と読心術を見込まれ二代目候補になった超能力者が二代目を争い、その裏では恐るべき企みが。。。と、こんな感じのお話です。

泡坂氏のヨギガンジーシリーズはコメディタッチの作品なので読みやすく軽く読めますが、話自体はそれほどでもありません。というとファンの方から怒られるかもしれませんが、事件自体は淡々と終わっちゃうので大したクライマックスがないのです。

でも、本当に驚かされるのはそこからです。

二代目候補のひとり、端姉日導は教団の聖典を使って読心術を行うのですが、なんとこの「しあわせの書」には。。。いや!これ以上は辞めましょう!

これは本当にスゴいです!そんなことが本当に可能なの??って思わされます。そしてこの本を買った人は超能力が使えるようになります。これがワンコイン500円以下で買えるのは信じられないです。

マジシャンとしてもアイデアに溢れていた泡坂氏の大変な苦労作でしょう。

生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術

こちらも泡坂氏の労作です。スゴい仕掛けですが、仕掛けが隠されてないので説明しちゃいます。読む前からどういう仕掛けかは明らかなので。

この本はもともとフランス綴という製本方法で発売されました。フランス綴はアンカット製本ともいうようですが、印刷した紙を何枚か重ねて蛇腹に折って本にしたものです。折った部分が袋とじになるのでペーパーナイフで切りながら読むことになります。今は最初からきちんと裁断して販売するのが普通ですが、昔、本が高価だった頃はこうして簡易な製本で販売されていたってことみたいですね。

で、フランス綴だとどうなるかというと、新品の状態では小説の一部しか読めないんです。そしてその一部しか読めない状態で読むとひとつの短編小説になっているのがこの「生者と死者」の特徴ですね。もちろん、フランス綴をカットして読むとちゃんとした長編小説になります。

そしてスゴいのが最初の短編小説はページごとにバラバラになり、長編小説全体に散らばってその中に溶け合ってしまうように作られているんです。幻想的な短編小説がまったく雰囲気の違う推理小説の一部になってしまうのは圧巻です。同じ文章なのにそのシーンの意味合いがまったく変わってしまうのですから。

最初に本に仕掛けられたトリックが解っているにも関わらず、驚くしかないって感じですね。袋とじを切る前の本も欲しくてつい2冊買ってしまうかも。

現在は復刻版の文庫本しか販売されていませんが、袋とじはちゃんと再現されています。といっても切り取り線が入った製本でフランス綴ではないですけどね。文庫本ではフランス綴の雰囲気は味わえませんが作品のスゴさはちゃんと味わえます。

まとめ

Kindle(電子書籍)ではその良さが絶対に伝わらないであろう泡坂妻夫氏の紙の本2冊のご紹介でした。どちらも本の素晴らしい仕掛けがKindleでは成立しないですからね。

どちらの本も初出からかなり経っているので話や文体はちょっと古臭いのですが、まぁそれは仕方ないですよね。かなり驚きの仕掛けですし、文庫本なので価格も安く、買って損はしない出来だと思います。

とはいえ、こうした本自体に仕掛けがあるというのはあくまで例外中の例外。やっぱりKindleは便利ですね。それにKindleをはじめ電子書籍がもっと普及してきたら今度は電子書籍であることを利用したトリックができるかもしれないですね。

そういう電子書籍の発展も楽しみにしたいです。

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